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レスポールのリフィニッシュ
第三者が見ると『大した変わらないんじゃ?』と思うレスポールの色。
これには拘る方が非常に多い様に思います。
お預かりしてから結構日にちが経ちますが、気温やらでなかなか着手に至らないレスポールがございまして・・・。
で、先日、某リサイクルショップに息子の用事で言った際に、レモンドロップのレスポールが二本ばかり下がってまして、『うん、なんか迫力ないな。なんか寂しい感じだな』と感じました。
レモンドロップへのリフィニッシュが控えてるので自然と仕事モードになりました。
良いと思って買った人も居れば、今回の僕の様に好みに合わないと感じる人も居るって事でしょうか。
そう言った意味合いで考えると、リフィニッシュは個人的な好みを入れてはいけないんですよね。
今回はSLASHのAFD的な色合いでのご要望ですので、まずはSLASHのレスポールをたくさん見る必要が有ります。
客観的にですね。
ガンズ再結成の映像やSLASHのそろ映像を見ていて気がついた点が有りました。
SLASHのレスポールはどれも黄色ではない。
かなり赤みが強い。
市販品のAFDの画像と見て比べるても、SLASH本人のはかなりオレンジに近いというかオレンジ。アンバーかな?ハニーバーストに近いかな?
AFDのプロトは完全にサンバーストが残った雰囲気で赤い。
市販品の物はいわゆるレモンドロップなのでしょうが、ビンテージギターに囲まれた人からすると黄色過ぎて違和感あったのかな。
もしくは、これってSLASHの好みなのでしょうか?
リフィッシュされたと言われている、3Pトップのレスポールもかなり赤っぽい。
そして緑というか青みがかった感じがあんまり無い様に思います。
最近のソロの新しい映像のギターもニューAFDなのかと思われますが、これなんかかなりポップでビビットなオレンジがかった感じに見えますね。
開始!!
下調べは正月頃からやっていたんですが、というかYouTubeを好んで見ていたというのが本音ですが、5日ほど前に塗装剥がしを始めました。
下画像を、
123
456
789
の順でご説明させていただきます。
1.元の色です。色味は格好良いと思います。当初はこちらを『艶ありに』との事でしたが、どうせならって事でリフィニッシュとなりました。ちょっと黒っぽいというか緑っぽい印象を受けます。
2.夜な夜なサンディング。トップコートのないフィニッシュですので、結構凸凹感が有りますが、これが良い雰囲気でも有ります。トラ杢は特に削れやすい場所と削れにくい場所が出てきますので、まぁ普通。
3.虎杢を目立たせたいとのご要望もございましたので、生地着色します。もっと濃い色を入れるとはっきりするんでしょうがレスポールの雰囲気ではなくなりそうなので、濃いアンバーで。
4.サンディングして色を落とします。
5.更に落とします。画像では杢目がうっすらですが、乾いてる状態なのでこんな感じ。ちょっとクリアとか吹いたらかなりはっきり出ます。
6.下地にオレンジっぽいアンバーを入れたので黄色に近い色を吹きます。
7.サンディング。トップはこんなに黄色いですが、見た目はアンバーです。下地着色ってこんな感じで色が変わってきます。
8.お客様よりいただいた画像のギター(AFD、プロト)を参考に分かるか分からないか位でサンバーストを入れます。画像はあえて(たまたま)赤が強調される光の下で撮影しました。これだけでのっぺり感がなくなる印象です。
9.うっすらクリアを吹いてサンディング。
そして、これからセルにもクリアを吹かなければなりませんので、マスキングをやり直してクリア塗装です。
硬化待ち
マスキングを剥がしてセル掻きをしてマスキングしてクリアを吹きました。
硬化待ちです。
似た様な色になってるのか?
SLASHの写真と並べてみました。
プロトとニューAFDの中間位な感じでしょうか。
ビビッドな感じが存在感有ります。前述のリサイクルショップに一緒に吊られていたら目を引くギターだと思います。と手前味噌。
けど、色は本当難しい。
こればっかりは個人の好みの問題も出てきますので本当に難しい。
おそらくイメージで塗ってたら、もっと黄色く、かつ小汚い感じの色になってたかも知れません。
番外編
よく通販サイトなんかで、物凄い感じの杢目のギターが有りますよね。
eBayなんかは割と多い気がします。
あれって、ほぼ加工画像だと思います。
現物届いてがっかりしない為にも本当にご注意下さい。
例えば、こんな感じ。
先ほどの画像を加工したものですが、通販サイトの画像的な感じかと思います。
見事な杢目!となりますが、ここまではなかなか生地着色でも難しいですね。
写真にご注意下さいね。
と書きながら加工画像は見映えするので、タイトルの画像に使っちゃお。
磨き!!
たった今磨きを終えました。
早速部品を取り付けたいところですが、フレットのすり合わせが残ってます。
すり合わせがを終えてからになります。
そうそう、、、
この色ですが、非常に評判が良いです!!
先日いらしたお客様も「ボケた感じがなく、はっきりしてるけど渋さもあって理想。こんな感じでリフィニッシュしたいのでいつか持ってきます」とリップサービスをいただきました。
嬉しい限りですね。
FADEDから艶有りとなりましたので、物凄くイメージが変わりました。
掲載していなかったヘッドもこんな感じになってます。
元はこちら。
毎度思うのですが、FADEDのトップコートはニトロのラッカーなのだろうか?
ラッカーって、そんなに塗膜は弱くないものですが、ほとんどのFADEDは数ヶ月で弾き傷がついている様に感じます。
ひょっとしてシーラー仕上げなのではなかろうか?そんな事ない?どうなんでしょう?
恐ろしく薄いコートで、デカールに傷をつけそう(いや無くなるかな?)なので、汚れを落とす程度の足付けをしてクリアを吹きます。
当初はアンバー化した感じのロゴ色になる様に思いましたが、SLASHモデルを意識した塗装ですので、あまり黄色すぎるも微妙ですね。SLASHのギターはヘッドのロゴは綺麗です。
ラッカーのそのものの飴色程度に変更させていただきました。
もうちょっとだけ養生して、フレットすり合わせ、セットアップに移りたいと思います!!
フレットすり合わせ
フレットのすり合わせを施して参ります。
減りはほとんどございませんが、高さの不揃いが気になるところ。
相手は木材ですから、狂う事もございます。
Gibsonは作りが悪いとかそんな事では決してございません。
『どこどこのネックはいい!!』なんて話も聞きますが、それは偶然という事も大きいかと思います。
8000円のギターだって長年使ってもめちゃくちゃ調子の良いものだってございます。
楽器はメンテ、リペアが必要なものと、おおらかに付き合っていくのが良いかと思います。
開始!
フレットのアールを測ってみますが、12Rかと思いきや14Rに近いです。
すり合わせ時にフラット気味になったのでしょうかね?
ただ、これも良し。
コンパウンドラディアスにしたら良いのかな?なんて悩みましたので、お客様に聞いてみようと測ったんですが、これだと聞くまでもなくこのままで行った方が良いですね。
12→14のコンパウンドラディアス化はハイフレット側をフラット気味にするので、弦高もそう気にならないのですが、14→12の場合はボディに乗るハイフレットの状態にもよりますが、フレットをかなり削る感じになっちゃいます。
画像ではちょっと分かりにくいかも知れませんが削り幅を見ると高さの違いがあったのが分かります。
完成!!
では、最後に『ジャングルへようこそ!!』を。
ご閲覧ありがとうございました!!
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