本日ご紹介のギターはこちら!
あまり詳しい事を書いてしまうと個人情報に繋がってしまうので伏せさせていただきますが・・・
写真のギターは、お隣の町の著名人の愛機だったそうな。
展示目的で某施設に貸出中・・・。
しかし!
展示はされず、あまり丁寧な管理とは言えない状態で保管(放置)されていたのを親族が発見し、お持ち帰りに。
貸出時から割れや剥離変形による隆起が見られておったそうな。
「父の思い出の詰まったギターなので修復したい」と娘さんからのご依頼がございました。
そんな訳でお預かりさせていただきました。
バックの状態が特に酷い
この様にスケールをあててみると、端は2cm以上の隙間が見られます。
割れて、ブレーシングと剥離して、ローズが変形し山形に盛り上がってます。
トップもまぁまぁ酷いですが、まずはここを修復したいと思います。
戻らない様で有れば、バックを剥がす可能性も出てくるので他を触る前にまずはここ!
接着が困難だった
お父さんがご自身で修理をされた様で、その接着剤が残っており再接着が非常に難しい状態です。
一度「しっかり戻ったかな?」という状態になったのですが、数日後見てみると元の状態に戻っていたりとございました。
誤解を招きそうなので一つお話しさせていただくと、
おそらくご使用されていた頃は接着されていたのだと思います。
保管状況や、経年変化で再度剥離してしまったものと思います。
ブレイシングを見ても、追加接着剤は薄い状態なので、その状態でくっついていたのだと思います。
と、やってる本人しか分からない様な説明をしてもアレなので、
兎にも角にも、再接着に邪魔な接着剤を剥離し、隆起変形したローズを矯正して接着にかかりたいと思います。
接着出来た
同じ失敗は繰り返すまい・・・。
しっかりとイメージして、下準備をして接着剤を注入し、クランピング!
クランピングの方法は、ちょっと簡単ではないです。
長年色々やって編み出した方法でございますので教えませんw
隆起もなくなり、しっかり接着出来ました。
もちろん、元のウネウネは残ってしまいますので、完全な緩いアーチという訳には行きませんが、これも味わいです。
接着剤を取り除けるだけ取り除いた内部です。
奥の方は難しいのでちょっと残ってますがギターとして問題はないですし、しっかり接着も出来たのでOKでしょう。
ブレイシング、センターの継ぎ裏の木材との剥離もしっかり接着されています。
このギターも新品時が有りました。その時はもちろんしっかりしていたでしょう。
今回の接着もそれと同じ様に永遠ではございません。
リペア全てが同じですが、ご理解いただけますと幸いです。
ちょっと話は逸れます
世の中には色々な方がいらっしゃるものですね。
今回のこのギターの持ち主様ですが、活動が凄くて興味津々で読ませていただきました。
音楽を通じて海外と交流をされていたりと色々ございます。
美幌町の方はもちろん、近郊の方にも是非知っていただきたいと思いましたので、
ご紹介させて頂きます。
美幌音楽人 加藤雅夫 北海道美幌町で音楽とともに(←クリックで開きます)
あらら、、、冒頭で個人情報に繋がるので伏せるって書いたのに、すみません。
ダメなら消しますのでご連絡下さい。
トップ修理
トップの割れって、まぁ付きものって言えば付きものです。
割れていない状態が良いとは思いますが、割れは割れでアコースティックギターの勲章と思っていただけますと幸いです。
どうしても割れは嫌!って方は合板のギターが進めですよー。
そんな訳で割れです。
所有者様で修理をされた様です。
接着剤が突起してます。
割れの隙間を埋めて、補強を入れて、浮いているブリッジも剥がしました。
ブリッジ裏に付いてるトップの木材は剥がれによるものです。今回のブリッジ剥がしとは関係ないです。
とは言え、この程度の感じは全く問題はないです。
問題はブリッジが変形してる事とか、もっと色々たくさん(笑)
ちょうど、ワカサギドリルの歯を交換したのですが、、、
元の歯が目に入りました。
しっかり研ぎ直して、めっちゃ使いやすいスクレーパーと返信しましたw
割れ部分だけ白い・・・。色合わせは必須ですかね。
割れたままだった場合は、割れの修理のみでもOKだったんですが、
この状態だと塗装が必要ですね。
塗装の仕事は『今は承ってない』と言ってるんですが、このギターはお預かりしてから何ヶ月も経っていて、『今』ではないので、責任を持って塗装もしていきます。
まずは色合わせをしました。
クリア吹いたら多分良い感じになるかと思います。
塗装
寒いから、ストーブつけて暖めるとこからスタートです。
しかも、冬前のコンプレッサーの水抜きを怠ったため、中で水が凍ってる感じ。
−20°C・・・。寒すぎてモーターも動かないし・・・。
温めて動いたと思ったら、こんどは安全弁の動きが悪くて、圧が上がりすぎて怖いし・・・。
費用も嵩みますので、バックは磨きのみで対応させて頂こうと思います。
まだまだ先は長いですが、形になってきました。
完了!!
まずは、バックを磨きます。
リペア料金も膨らんでおりますので、バックは衣類への引っかかりの除去と磨きのみで対応させて頂こうと思います。
修理部分は黄色の着色層がなくなってますので、少々色味は異なっております。
ただ、ギターとしても問題はございません。
そして、ブリッジを整えて、貼って、牛骨でサドルを作って、弦を張って完了です!!
剥がれ、割れが原因の嫌なビビリ音も解消され、
しっとりかつ元気に良い音で鳴ってくれています!!
大リペアで弦を張りたてなので、暫く様子を見させて頂こうと思います。
(多分、問題は出ないと思いますw)
ご用命、ご閲覧有難うございました!!